No.153 2001.10.11
事務所に顔を出して、日がなボケーッとしてても居づらいので、電話番をしています。
最近この電話番で楽しみを見つけました。
一日に大体5から10件はかかってくる営業の電話・・・
ほとんどが、株とか、金とか、不動産とか融資とか先物とか、そういうものばっかりなのですが・・・
これをいかにうまく社長に繋がないかに燃えています。
社長
「ねぇ、この営業電話ってすごい時間の無駄でさぁ、断り続けていると中には喧嘩になったりして精神衛生上良くないから、うまく見極めて断ってよ」
コチサ
「了解!」
この種の電話は、先方も、社長に繋いでもらってから本領発揮なので、こちらとしてはその前で全て処理をする水際作戦ということになります。
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営業1
「もしもし、私、○○証券の××と申しますが、社長さんはいらっしゃいますでしょうか?」
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このパターンは一番簡単です。
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コチサ
「今、出かけておりますが・・・」
営業1
「そうですか、じゃぁまたご連絡させていただきます」
しかし全部が全部こういうパターンではなくて・・・
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営業2
「もしもし、私、○○証券の××と申しますが、△△(社長の名前)さん、いらっしゃいますか?」
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何処で調べたか、社長の個人名で取次ぎを求める電話もあります。
最初は、困惑して繋いでしまいましたが今ではひっかかりません。
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営業3
「もしもし、山口と申しますが、△△(社長の名前)さんいらっしゃいますか」
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これは、2のパターンの変形版。
自分も個人名を名乗るパターンです。
これも慣れました。
営業4
「もしもし、○○証券の××と申しますが、先日お送りした資料の件で社長さんとお話がありまして・・・」
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これも最初はひっかかりました。
先日お送りした資料というのは、嘘の場合がほとんどで、送っていたとしても単なるDMだったりします。
・・・と数々の難敵をなぎ倒してきたコチサですが、先日、こんな強敵が・・・
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営業さん
「あー、古川だが、社長いる?」
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年のころなら50歳くらいでしょうか。
ちょっと偉そうな横柄な態度。
監査役かなんかの個人的な知り合いって感じで、「社長」っていう部分をちょっと見下した言い方で発音します。
コチサの事務所は中小の小にもならないので、クライアントの社長はいかにもこんな言い方をしてかけてきそうです。
でも、コチサは騙されません。
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コチサ
「あのーどちらの古川さまでしょうか?」
古川さん
「錦糸町だよ、錦糸町の古川だよ、△△社長いる?」
なんと、社長の個人名も押さえているようです。
これはパターン3の変形バーションだな。
コチサ
「申し訳ありません、最近営業の電話が多くて、面識の無い方からの電話は取り次がないように言われてますので・・・」
古川さん
「君は新人か?古川だよ、古川。社長に古川から電話だと言って繋いで」
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この自信満々の態度に、コチサはちょっぴり不安感がよぎります。
もしかしてこれは本当の知り合いなんじゃないか・・・
でも、うちの社長は基本的に、こういう横柄な物腰の人間とは付き合わないはずだ。
もし付き合ってたら、この会社はもう少し大きくなっているはず・・・(^^)
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コチサ
「あの、古河さまは、本当に弊社の社長とご面識があられるのですか?」
古川さん
「当然だよ、こっちも忙しいんだ、早く代わって」
コチサ
「誠に恐縮ですが、社長の顔の特徴をおっしゃっていただけますか?」
古川さん
「何を言ってるんだ、君は。顔の特徴なんて、どうやって伝えればいいんだ、人それぞれだろ」
コチサ
「普通はそうですが、もしご面識があれば古河さんもご存知だと思いますけど、社長の顔は明らかにそれとわかる特徴があるじゃないですか、ねっ」
古川さん
「ま、まぁそうだな、そりゃそうだ、あれは特徴だな、確かに」(動揺してるな)
コチサ
「じゃぁ、申し訳ありませんがその特徴をおっしゃっていただけますか?」
古川さん
「しかし、それは失礼じゃないかな・・・まぁ頭は顔の特徴には入らない・・・よな」
コチサ
「古河さんがおっしゃっていることは、社長の頭髪のことでしょうか?禿げている事をおっしゃられているのでしょうか?それでしたらよくある特長で、明らかにそれとわかる特徴とは申せませんが・・・」
古川さん
「まぁ、そうだな。お宅の社長の禿げは特別なもんじゃないからな」
(やったぁ、やっぱり偽物だ。社長は禿げてなんかいない)
コチサ
「じゃぁ禿げ以外の、一目でわかる明確な特徴をおっしゃってください」
古川さん
「えー、目だっけかな」
コチサ
「目ですかぁ?(疑惑の口調)」
古川さん
「いや、冗談だよ冗談。口だったっけ・・・」
コチサ
「古川さん、本当に社長と面識があるんですかぁ?(不信の口調)」
古川さん
「当たり前だよ、ただどうしてもお宅の社長っていうと禿げてるのが先に浮かんじゃってさぁ」
コチサ
「でも明らかに、明確な特徴が顔にあるはずなんですが、おかしいですね」
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この時、古川さんの頭の中はいろんな可能性が高速回転していたようです。
「顔に傷?」
「鼻がでかすぎる?」
「眉毛が繋がっている?」
「それとも何かもっと大きな問題が・・・」
そしてついに・・・
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古川さん
「わかったよ、もうやめだ、君には負けたよ。そうだよ私はお宅の社長には一度も面識は無いよ。降参だ降参だ」
コチサ
「申し訳ありません、最近営業の電話が多くて、面識の無い方からの電話は取り次がないように言われてますので・・・」
古川さん
「それもわかった、さっき聞いた。私の負けだよ」
コチサ
「では、失礼を致します」
古川さん
「ちょ、ちょっと待ってくれ、最後にどうしても気にかかるんだけど、そのお宅の社長の誰にでもわかる特徴ってなんなんだい、教えてくれんかね。気になってどうしようもない」
コチサ
「ハンサムってことです!」
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いっちょあがりぃ〜
コチサ
「どんなもんだい!」
社長
「おい、私はこの古川さんって人に、ハゲだと思わたままだぞ」
コチサ
「いいじゃん、ハンサムだとも思われたんだから」
社長
「しかしコチサ君、今時ハンサムって言葉よく出たな。若い人たちでは絶対に使わない言葉だな」
コチサ
「な、何言ってんの。相手が年配だから合わせただけじゃん。それにこっちは気を使って言ってやってったのに。じゃぁ次回からはオチはブサイクなんです、って事にしちゃうからね」
社長
「ちぇっ、ハゲでブサイクかい」
いいじゃん、それで無駄な電話が減るんだから
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