No.265「祭りだ祭りだ!」  2002.10.15

 写真・・・新宿区の祭り1

 体育の日の休日。

 新宿界隈では、お祭りが3つも・・・

 コチサはとりあえず、全てに顔を出すことにしました。

ライン

 去年に比べて、人だかりは増えています。

 親子連れのグループが、子供を囲んで、アイスクリームやたこ焼きを食べています。

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 コチサ

 「すごい賑わい、不況不況なんて言われているけど嘘みたい」

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 でも・・・

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 ビリー

 「今は、お金を使わないで子供と楽しく休日を過ごす方法を考えなくてはならないんですよ」

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 この前、電話で話した「合併した支店長ビリー」が言っていた言葉を思い出しました。

 じゃぁ休日に遠出をしなくなった家族が、近場のお祭りに大挙繰り出したのでしょうか?

 盛況な人並みに比べて、お祭りの規模は明らかに質素になっています。

 お祭りに参列している店舗も、イベントスペースも全てが手作りです。

 インカムをしたイベンターと呼ばれる業者の方や、お揃いのジャンパーを着た音響照明スタッフの姿は見えません。

 業者を一切廃して、地元の人たちだけで作ったお祭りになっています。

 写真・・・新宿区の祭り2

 段取りに戸惑ったり、小学生の吹奏楽団の行進が思い思いの方向に進んだりといろいろな手違いがあるようですが、見ている人たちにとってはそれもまた楽しい事になります。

 そしてそんな質素さの中に、手作りの暖かさを感じます。

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 コチサ

 「コチサも綿あめ食べよう・・・すいません綿あめいくらですか?」

 売り場のおばさん

 「ごめんなさい、先ずむこうで券を買ってもらってその券でいろいろ食べたり遊んだりしてもらうの。ごめんなさい。お金の管理がばらばらになっちゃうとうまくまとめられなくなるのよ」

 コチサ

 「なんのなんの、コチサが少し足を伸ばして券を買えば良い事です。また参上します。美味しい綿あめを用意しておいて下さい」

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 通りの一画の買い物券売り場はなかなか見つからなかったのですが、綿あめの誘惑の勢いで捜し求めた挙句、ようやくたどり着きました。

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 コチサ

 「綿あめ分を下さい」

 売り場のお兄さん

 「綿あめ?綿あめは・・・2枚かぁ・・・10枚綴りなんだけど、まっいっか」

 コチサ

 「いや、そういうルールならシートでいただきましょう」

 売り場のお兄さん

 「すいませんねぇ」

 コチサ

 「なんの、なんの」

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 写真・・・新宿区の祭り3

 綿あめをパクつき、歩きながらコチサは考えました。

 イベント制作会社の人たちはそれを職業にしているから、先ず「来場者」の事を考えます。

 わざわざ買い物券を買わせる手間を考えると、「来場者」の「面倒臭さ」が「売上減」に繋がります。

 それなら、人を増やしても各売り場で現金清算が出来る道を選択するでしょう。

 でも手作りイベントでは、「自分たちの限界」と「来場者の協力」を考えます。

 地域のみんなの為のお祭りだから、みんなが楽しめるように、みんなが努力する。

 みんなが少しづつ協力することによって、みんなで作ったお祭りが出来上がる・・・

 きっと楽しさも、嬉しさも、格段に大きくなるんだろうなぁ。

 本当のイベントやお祭りの姿ってそういうところにあるんじゃないかなぁ・・・

ライン

 コチサ

 「・・・って言う風に思ったわけなのよ。コチサはここにイベントの運営の原点を見たわけなのさ」

 社長

 「ふーん」

 コチサ

 「ふーんって、ここは一つ「地域に学ぶ」精神で私たちも一から出発しなおさなくちゃね」

 社長

 「出発って何を?」

 コチサ

 「だからイベントとかそういう仕事だよ。原点に帰って考えるんだよ。仕事とか商売で考えないで心で考えるんだよ」

 社長

 「でもさ、イベント屋に仕事を発注する時って「仕事」「商売」って時に発注するんでしょ。そこには、発注者や来場者の「手間」を省くことが期待されているんじゃないかな」

 コチサ

 「市民だから市民感覚かぁ。プロが市民感覚をしたらプロである必要は無いのかぁ」

 社長

 「まぁ、でも君が今回感じた事は職業としてのイベント屋にも大切な事かもしれないよ」

 コチサ

 「そりゃどうも。じゃぁ今回の祭りも、仕事の一環とみなす事が出来るわけだね」

 社長

 「まさか、またなんか・・・」

 コチサ

 「そう、はいこれ買い物券の領収書。それと余った買い物券、綿あめ美味しいよ」

 社長

 「でももう祭り終わったんでしょ」

 コチサ

 「まっいいって事よ。来年もあるしね」


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