コチサの姪っ子は、ブー、フー、ウーと3匹います。 全て妹の子供で、女、女、男です。 コチサ 「もう作らないでね」 妹 「言われなくても、もういらない」 コチサ 「3番目、可愛くないよね」 妹 「・・・こ、この前会った時はまだ喋らなかったからでしょ。今はもう言葉も覚えて喋れるようになったよ」 コチサ 「そういう事じゃなくて、少し生意気じゃん、あいつ」 妹 「・・・た、待望の長男だからね。本家や実家の両親につい甘やかされちゃうのよ」 コチサ 「そんな甘やかされ放題のやつなんか、なおさら可愛くないな」 妹 「そ、そんな事いわんと・・・でもすぐに好きになってくれると思うわ・・・上の二人だってまだ赤ん坊の頃は気味悪がっていたけど、今じゃすっかり仲良しやしな」 コチサ 「気味悪がってじゃなくて、なんかブニュブニュして怖かったんだよ」 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 実家に帰った時、初めて赤ん坊を抱けと言われた時、もう泣きそうでした。 落としたらどうしよう? もしつぶしてしまったらどうしよう? 動物園のふれあいパークで初めてモルモットを抱いた時以上に緊張しました。 それにモルモットはまだ可愛かったけど、妹の赤ん坊はただブスッとしているだけ。 コチサが抱いて泣かれでもしたらと思うともうひやひやでした。 そんな上二人の赤ん坊は、妹の言うように今じゃすっかりコチサのお気に入りの子分です。 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 妹 「でさ、3匹の子育てには疲れたから、この間お母さんと話し合ったんだよね」 コチサ 「ん?」 妹 「一匹、お姉ちゃんにあげようかって・・・」 コチサ 「・・・へっ?」 妹 「お母さんも、サチコは子供がおらへんから可哀想だからそれも良いかもって・・・」 コチサ 「・・・(確かに田舎しか知らないお母さんの言いそうな事だね)」 妹 「で、どれがいい?」 コチサ 「そんなぁ、犬や猫じゃあるまいし・・・どれもいらないよ」 妹 「なーんだ、残念」 昔はこういう話が冗談ではなく実際にあったそうです。 田舎では勿論、東京でもそういうことがあったと聞いた事があります。 兄弟の子だからとか、血が繋がっているから、とかいう理由で割と簡単に、子供の親や住処が変わっていったそうです。 本家の子供が分家に行ったり、その分家の子供が本家に行ったり・・・ 今では考えられないことです。 でもそこには今では考えられない親戚間の繋がりがあったのかもしれません。 自分の子供も、親戚の子供も、一族の宝として時に叱り、時に褒め、同じように接する。 だから子供は何処に行っても、自分は愛されているという安心感がある。 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: コチサ 「まぁ姪っ子だからね、可愛いとは思うけど、あんたが子供を愛するように、自分があんたの子供を可愛がれるかというとそんな自信はないなぁ」 妹 「そうだよね。私だっていくらお姉ちゃんでも、自分の子供を養子に出す気はないよ」 コチサ 「それは昔ほど一族意識って言うのはなくなったけど、親子愛は希薄になっていないって事だね。良かった良かった」 妹 「まぁ四六時中3匹もいると鬱陶しくなるけどね」 コチサ 「コチサは正月の数日間だけでも鬱陶しいよ」 妹 「・・・」 コチサ 「特にあのわがまま放題のウーは何とかしてちょ」 妹 「・・・一応、3匹とも私の子供なんだけど・・・少しは気を使ってくれても・・・」 コチサ 「ウーは嫌いだ」 妹 「・・・」 ウー、早く赤ちゃんから脱皮して子供に成長したら、子分として遊んでやるぞ! |
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