No.371 「実はケーキは・・・」 2003.12.24
 写真・・・ケーキ

 クリスマスといえば、プレゼントとケーキです!

 子供のころは、学校でケーキが配られました。

 ケーキといってもホールのものではなく、小さな三角形のショートケーキ、それもバタークリーム味のやつです。

 それでも子どもたちは楽しみで、朝からそわそわして楽しみに待ったものでした。

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 ジュンちゃん
 「今日のケーキ、楽しみだね」

 コチサ
 「うん、楽しみ楽しみ」

 メグちゃん
 「おいしいよね」

 コチサ
 「うん、おいしいおいしい」

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 そして放課後、コチサは小さな三角形のショートケーキを抱えて家に帰ります。

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 コチサ
 「ただいまぁ、メリークリスマス、ケーキもらったでぇ」

 おばあちゃん
 「お帰り、じゃぁ手を洗ってみんなで食べなさい」

 コチサ
 「うん!」

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 コチサ邸には、妹と弟がいるので、お母さんがあらかじめ学校でくれるケーキと同じものを、近所の平田店で買っておきます。

 いちおう小さなろうそくをつけて、クリスマスソングなんかを妹弟で歌ったりします。

 香川の山奥、どう考えても線香の香りやお経しか流れないようなわらぶき屋根の一画から、ろうそくにジングルベルじゃ、天の神様はさぞ驚いた事と思います。

 違和感は、コチサにもありました。

 周りの子どもたちが「わーいケーキだ」と喜ぶものだから、ついコチサも「わーいケーキだ」と喜ぶのですが、コチサにはどうもこの洋風のクリスマスケーキというのは合わなかったようなのです。

 でもコチサはクリスマスのイベントは大好きでした。

 一緒にお膳に並ぶローストチキンや子どもシャンパンは、普段にないご馳走として楽しみでした。

 ただケーキだけがどうしても大好物とはいかず、どうせ同じ甘いものなら「あんこの方がいいや」という気持ちが日に日に募るようになりました。

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 そしてある年のクリスマス・・・

 コチサは意を決してお母さんにお願いをしました。

 ♪じんぐるべぇーる、じんぐるべぇーる、すずがなるぅ〜

 その年のクリスマスも、コチサ邸の調子はずれの合唱から始まりました。

 そして家族のお膳の前には・・・

 「ローストチキン」「こどもシャンパン」「ケーキ」の三種の神器が並んでいました。

 ただ一人、コチサの三種の神器だけが違いました。

 「ローストチキン」「こどもシャンパン」「おはぎ」でした。

 お父さんは、
 「まぁ百姓の子どもらしくて良いわ」
 と豪快に笑いました。

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 東京に出て来てからも、コチサにはたくさんのクリスマスがやってきました。

 バブルの時代のクリスマスも経験しました。

 ケーキは、香川のバタークリームからは格段に進歩していました。

 そして、コチサは一応「ケーキ大好きぃ」の役回りを引き受け、楽しいクリスマスを過ごしました。

 バブルはとっくに弾け、仲間同士の豪華なクリスマスイベントも少なくなりました。

 しかし相変わらずケーキだけは、その味をどんどん上げて、派手な装飾と共に「クリスマスの女王」の座に君臨し続けています。

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 コチサはケーキは嫌いではありません。

 美味しいし、5個でも6個でもお腹に入ります。

 でも、最近とみに思います。

 「クリスマスにおはぎを食べたい!」

 コチサはケーキが嫌というのじゃなくて、コチサの居心地の良い場所というのが、「ローストチキン」「こどもシャンパン」「ケーキ」の三種の神器の場所ではなくて、「ローストチキン」「こどもシャンパン」「おはぎ」の場所なんだと思うようになりました。

 最近付けられたあだ名が「昭和歌謡が似合う女」。

 そしてお父さんの言葉が「まぁ百姓の子どもらしくて良いわ」。

 どうやらコチサというのは、ここら辺が落としどころなのかなと自分でも納得してきました。

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 豪華なホテルでのクリスマス。

 フランス料理のフルコースに舌鼓をうつコチサ。

 しかしギャルソンがデザートに運んでくるのは「おはぎ」。

 そうした一連の流れを、周囲に違和感を感じさせず風景としてに溶け込んでしまうような生き方・・・

 もしかしたら、それがコチサの一番理想な姿なのかもしれないと思うようになりました。

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 クリスマスは大好き。

 ケーキも好き。

 でも、出来ればおはぎで祝いたい。

 世界のMCコチサのもとで、キリスト様とお釈迦様が集って乾杯はいかが?

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