No.422 「至福のとき」 2004.7.2
 ポラリスストラップっす(*^_^*)

 最近多い「冬のソナタ」のシーンから・・・^-^;

 婚約者のサンヒョク君に、

 「何故、君はチュンサンさんを好きになったの?どこが好きになったの?」

 と聞かれたユジンさんは、本人の前では黙ったままでしたが、あとでこっそり女友だちのチンスクさんに告白します。

 「チュンサンを見ると、ストーンと落ちる感じがあったの。私の心が、私の心臓の鼓動が全部チュンサンに向かっている、そういう感じ。あぁこういうことが愛なんだなぁ、これが運命なんだなぁと思ったの・・・」

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 ご隠居
 「なんですか、今日は愛の話ですか?それなら私はお呼びじゃない気がしますがね」

 コチサ
 「いや、引用文は落語で言えばマクラです。本題はこの台詞の「ストーンと落ちる」という部分です」

 ご隠居
 「ストーン?」

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 物語ではまたこうも言っています・・・

 恋敵(でも本命^-^;)のミニョン氏が、ユジンさんに、サンヒョク君のどこが好きなのか聞きます。

 ユジンさんは、「優しくて・・・」とか「誠実で・・・」とかいろいろ理由をつけます。

 続いてミニョン氏は「じゃぁ、自分の事は何処が好きか?」と聞きます。

 言葉に詰まるユジンさん・・・

 そこへミニョンさんの一言・・・

 「何故好きか言えないでしょ。本当に好きになったら理由なんかないんです」

 まぁ、サンヒョク君にとっては身も蓋もない状況です^-^;が、ここでもやっぱり理屈ではなく「ストーンと落ちる」事を暗に示しています。

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 ご隠居
 「ほら、やっぱり恋愛の話じゃないですか。私は帰りますよ」

 コチサ
 「違うよ。ちょっと待ってってばぁ^-^;」

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 人生にはこの「ストーンと落ちる瞬間」というのがあるそうです。

 そしてこの「ストーンと落ちる瞬間」があるから、人はどんな困難も乗り越えられるのだと思います。

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 コチサ
 「よく言われるのは、外国語の取得時のことです。何年間も勉強をして努力を重ねてきて、何度も挫折をしてもうだめだとあきらめようとした頃に、ある日突然「ストーンと落ちる」ように言葉が聞き取れるようになるそうです」

 ご隠居
 「・・・」

 コチサ
 「それも、少しずつじゃなくて、本当に突然視界が開けるように、一瞬にして一気に理解できてしまう瞬間がくるそうです」

 ご隠居
 「あなたは、そういう経験あるの?」

 コチサ
 「いや外国語に関しては^-^;・・・英検3級程度ではその瞬間は決して訪れないと思います^-^;」

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 コチサの最近の経験では、「ジャグリング」があります。

 普通の人は半年でものになるというのに、コチサは3年かかっても全然上手に出来ることはありませんでした。

 毎日毎日、少しずつは上達しているのですが、何かが違います。

 そんなイライラが募っていたある日・・・本当に突然やってきました。

 一瞬にして「コツ」というのかなんていうのか、体が自然に反応し始めたんです。

 ちょうど練習している最中でした。

 その瞬間に、もうこのジャグリングボールを落とすことは無いと確信できたのです。

 目の前で鮮やかに飛び跳ねるボール・・・それを自分が操っているとは信じられない気がしました。

 その瞬間が訪れた事が、おかしくておかしくて、コチサは大笑いしながらボールを投げ続けていました。

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 ご隠居
 「わかるわ、私も若いときに経験があるの。私は舞を舞っていたんだけどね。足の運びがどうしても理解できなくて足袋から血を流して練習してた時にね、突然こうストーンと・・・そうね、私もそのときやっぱり笑いながら踊り続けていたわね」

 コチサ
 「コチサは他にもマラソンとか、発声とかでも経験があるけど、どれもまぁ個人的な小さい努力の結果です。でも世の中にはもっと大きな努力を重ねている人がいます。そういう人にはもっと大きな「ストーンと落ちる瞬間」があるんだと思うんです」

 ご隠居
 「羨ましくなったのね」

 コチサ
 「はい(^o^)、あの「ストーンと落ちる瞬間」っていうのは一種の麻薬みたいなものですから^-^;」

 ご隠居
 「そうね。それを知っちゃたら努力がやめられなくなるわね」

 コチサ
 「そうです。そしてそこに至る試練が大きければ大きいほど、「ストーンと落ちる瞬間」は至福のときとなるみたいです」

 ご隠居
 「あなたは何か新しい大きな至福のときを目指してるの?」

 コチサ
 「いや違います」

 ご隠居
 「?」

 コチサ
 「実は考えたことがあるんです」

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 人生という長い列車の中で、努力の結果ときどき得られるこの至福のときは、終着駅に向かう途中途中の駅のようなものかもしれません。

 長旅の中、途中駅で降りて、背伸びをして美味しい水や空気を吸って、気分爽快リフレッシュして、また列車に乗り込むカンフル剤のような気がします。

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 コチサ
 「人生って長く厳しい道のりです」

 ご隠居
 「あらま」

 コチサ
 「人間の脳というのは、全体のほんの数パーセントしか働かないで人生を終えるといいます」

 ご隠居
 「ほいほい」

 コチサ
 「人間はただ生きているだけでも、人生という大きな努力の道を歩んでいるはずです」

 ご隠居
 「そりゃまた」

 コチサ
 「だったら、全ての人間の最期の時には、ストーンと落ちる至福のときが訪れるはずです」

 ご隠居
 「なんで私が登場したか、だんだんわかってきたわよ^-^;」

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 人間として生きていくことは、いろいろ大変です。

 どんなに勉強したって努力をしたって、人生の仕組みはわからないことばかりです。

 それは考えれば考えるほど難しくなり袋小路に入り込んでいく、人類誕生からの哲学的な問題です。

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 コチサ
 「それは、全ての人間は生きている時、脳の数パーセントしか使われないからです」

 ご隠居
 「だからあなたは、神様はそんな人間たちにきっと最後の瞬間はご褒美をくれると思うのね」

 コチサ
 「そうです(^o^)、きっと人間は最後の瞬間に脳が100%稼働して、一瞬にして人生の仕組みを理解できちゃうんだと思う」

 ご隠居
 「そうだといいわね。人生の悩みが全て解決されてから、天寿をまっとうできるんですものね」

 コチサ
 「でしょ。コチサもそう思うんです。だからそれを教えてくれるために、小さな至福のときのご褒美を、人生の途中途中に蒔いてくれているんじゃないでしょうか」

 ご隠居
 「そう考えると、人生を悩むのもそんなに苦にはならないわね」

 コチサ
 「そう、どんなに悩んでも、神様はちゃんと最後には答えを教えてくれるから(^o^)」

 ご隠居
 「で、話は戻るけど、私が呼ばれたわけは?(だいたい察しはついてるけど^-^;)」

 コチサ
 「あのさ、今言った話は、あくまでもコチサの仮説なわけだよ。もし事実としても、それを体験した人は全て召されてしまった人たちだからね」

 ご隠居
 「で、私が体験した時に教えろっていうのね、失礼な人ね^-^;」

 コチサ
 「いや、そうじゃなくてさ。ただ、どんなもんかなーなんてさ^-^;」

 ご隠居
 「まぁ知らぬ仲じゃないし、私も教えてあげたいわよ。でも方法がないじゃない。私がわかったときには私はすでに召されているんだから・・・それとも化けて出来てあげようかしら?」

 コチサ
 「い、いや、それだけは結構です^-^;」

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 ただコチサは、いつも「人生、捨てたもんじゃない」って思っていたいから・・・

 そして、風に身を任せたら「吹き溜まり」にしか行かないって、落ち葉を掃除していたおじいちゃんがよく言ってたから・・・

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 ご隠居
 「あなたの考え、きっと当たってると思いますよ。私はまだ元気そのものですけど、年の功で私が保障しますよ」

 コチサ
 「ありがとう!」

 ご隠居
 「ところで、こうして話してくると、あなたの引用した冒頭のマクラはちょっと違っていたかもしれませんよ。恋愛でストーンと落ちるのは、台詞でも言っているけど、努力より運命のほうが意味合いが近いんじゃないかしら?恋愛はあくまでも偶然の産物でしょ」

 コチサ
 「ところが、努力のご褒美っていうのはいろいろあってね。英会話やご隠居の踊りの時のようなご褒美が直接的なご褒美とすれば、間接的なご褒美もあるんだよ」

 ご隠居
 「?」

 コチサ
 「別な映画で、言ってたんだけどね・・・『運命というのは、努力した人に、偶然という橋を架けてくれる』そうだよ」

 ご隠居
 「私にも、橋がかかるかしら?」

 コチサ
 「はい、年齢制限は無いみたいです^-^;」

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