高度を下げ続ける飛行機は、眼下に見慣れた懐かしい景色を映し出してくれました。
でも、いつもの風景も今日ばかりは少し違って見えます。
コチサは、ふるさと高松空港への第一歩を、若干の武者震いと共に踏みしめました。
今日は弟・浩二の結婚式。
そしてコチサは親族順位では、お父さん、お母さんに次ぐ3番目の役回りです。
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浩二
「結婚式はな、自分たちでいろいろ決めたんや」
コチサ
「偉いね、結婚式場に頼まなかったの?」
浩二
「香川にもブライダルプロデュースいう会社があってな、何件かまわって感じのええ会社にお願いしてるんやで」
コチサ
「そりゃ、良かったね」
浩二
「姉ちゃんは、ただ気ままに来てくれるだけでええんやで」
コチサ
「ありがとう、気を使ってもらって」
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事前の電話連絡をしてくる弟が男らしく感じました^-^;
両親にとって子どもは、いくつになっても子どもであるように、コチサにとって弟は、いくつになってもあの頃のままの弟です
・・・だからなんか不思議な気持ちです。
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彼らが選んだ「人前式」が始まりました。
タキシードを着込んだ・・・というよりもタキシードに着せられた弟が一人、ステージの中央に向かって歩いて来ました。
背筋を伸ばして、一歩一歩を記しながら向かって来ます。
仕事がら、いつもの見慣れた風景です。
でも、今日は違いました。
その姿だけで、涙が溢れました。
赤ん坊だった頃、歩き出した頃、言葉を覚えだした頃・・・
幼稚園に通った頃、小学校に入学した頃・・・
そして・・・
東京に飛び出した姉に送ってくれた、つたない文字の手紙・・・
新聞の折込広告の裏面が便箋でした・・・
今も大事にしまってある手紙です。
そんな思いが一気に溢れ、まるで親のように、
「あの浩二が、こんなに立派になって・・・」
と、嗚咽してしまいました。
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男の子の、ましてその姉がそうなのですから、女親のご家族はなおさらです。
それぞれの家族が、それぞれにしかわからない想い出を胸のうちにたぎらせ、時を刻んでいきました。
式・披露宴と進む中で、家族・親族というものは周りの事など目に入らないものということが、自分がその立場になってはじめてわかりました。
家族の晴れ姿に、客観的・俯瞰的なものの見方を保つことは難しく、純粋に笑い・騒ぎ・喜び・涙してしまうからです。
家族にも、当事者の新郎新婦にも式全体は見えていません。
だからこそ、結婚式場のスタッフの、全体を見渡した冷静な対応・ケアが必要なのだと実感しました。
普段、運営側として司会進行を努めているコチサにとっては、改めて人の一生一度の晴れ姿に関わる責任の重大さを認識した次第です。
親族をはじめ、たくさんの同僚や仲間たちに祝福され、弟たちは新たな道のりを歩みだすことになりました。
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今回、「コチサニュース」を読んでくれている方々からも、たくさんの祝福のメールをいただきました。
ここに謹んでお礼を申し上げますと共に、弟も無事家庭を持ち、新たな所帯を築き始めたことをご報告させていただきます。
ありがとうございました。
フー、姉として世間様への対応・・・
疲れるぜ(-.-)y-゜゜゜
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ということで、喜び悲しみあり、怒りありの結婚式でした。
ん?
怒り?
明らかに不手際が目立ち、招待客から不満の声が上がっているのに、自己弁護に終始し右往左往しているばかりのブライダルプロデュース会社。
挙句に、
「私たちが経験した中で、一番素敵なお式でした」
と、新郎新婦及び両家両親に真っ先に予防線を張る周到さ・・・
「おめでたい式だから」
と誰も事を荒立てない立場に、あぐらをかいてのお粗末三昧。
結婚式場の支配人が、
「あの業者は何度も不手際を抱えていて・・・責任をもって出入り禁止等の対処をしますから」
といった言葉の真心を信じるしか道は無いのか・・・
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お母さん
「式の担当者さんが挨拶に来てくれてな・・・私たちが経験した中で一番素敵なお式でしたと言ってくれよったわ(^o^)」
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無邪気に喜ぶお母さんの顔を見ると、悲しくなると共に、自らも、もっともっと心を込めて仕事に臨まなくてはならないと、身を持って感じた一日でした。