灼熱のアスファルトの上、セミが仰向けになってもがいています。
6本の足をバタバタと・・・時おり体をピクッと痙攣させています。
コチサ
「地上での七日間のお勤めを全うしたんだね(^o^)」
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セミの一生は、地中は7年、地上は7日と言われています。
(※実際には、まだまだ研究中の部分もあり、地上で1ヶ月も生きる場合もあったりするようですが・・・)
手足をばたつかせて悶える断末魔の姿は、苦しそうに見えます。
車が一気に走り去っていけばラクになるのに・・・
などと思ったりもします。
でも・・・
セミは苦しいのかな?
どうしても人間の感覚で考えてしまうから、断末魔のもがきようは、痛く苦しく辛いものだと感じでしまうのでしょう。
コチサの目の前のセミが、その天命を全うしようとしているその姿は、実はセミにとっては、高い木の上で声高に鳴いている時以上に、崇高な気分を味わっている瞬間なのかもしれません・・・
コチサ
「それを、車に轢かれて一気に楽をさせてあげたいなんて・・・コチサも随分人間界の垢に染まったものだな^-^;」
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ずーと昔、コチサがまだセミだった頃の事を思い出しました。
最初の記憶は、枯れ枝に産み付けられた卵から孵化した時にはじまります。
コチサは仲間たちと一緒に、必死で木を下り、地中に潜って木の根に取り付きました。
針のような口を差し込んで樹液を吸い、長い年月を過ごしたものです。
真っ暗なとても静かな毎日でした。
そこで、コチサは来る日も来る日も夢を描き、地上での七日間の生活をイメージしたものです。
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何度目の夏だったでしょう。
遠くから声が聴こえました。
「もう出ていらっしゃい(^o^)」
優しい優しい声でした。
あれは、コチサを産んでくれたお母さんだったのか・・・それともお日様の声だったのか・・・
地上に出て、ゆっくりゆっくりおぼつかない足取りで、木に登り、住処を目指した時の事は忘れられません。
眩いばかりの太陽の日差しの中、大きく大きく膨らむ希望と、一抹の不安を抱えて・・・
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コチサは「ヒグラシの雄」でした。
だからコチサは、アブラゼミが鳴き終わった夕方や夜明け前に鳴きました。
大きな声で、声を限りになきました。
コチサゼミ
「ティティティティティティティ・・・」
セミの鳴き声の中でも、ヒグラシの声は一番素敵です^-^;
コチサが人間になって、「声」のお仕事を人生の伴侶に選んだのも、このセミ時代の思い出があったからかもしれません。
コチサゼミ
「ティティティティティティティ・・・」
コチサゼミが鳴きます・・・
セミをクリッククリック♪
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コチサゼミが鳴き終わると、今度はニイニイゼミの出番です。
ニイニイゼミは、けっこう遅くまで鳴いているので、翌朝夜明け前にも鳴くコチサにとっては、寝不足を誘う嫌なヤツでした^-^;
そんな地上の楽園を謳歌したコチサゼミにも、ついに地上最後の日がやってきました。
それは、前方にあった美味しそうな木に飛び移ろうとした時でした。
これまでは自由に木から木へ移動できたものが、羽根が自由に動きません。
コチサゼミ
「あー!!!!」
あっという間に、コチサは地上に叩き付けられ、仰向けにもがいていました・・・
コチサゼミ
「う・う・う・・・誰か・・・た・す・・け・・・て・・・」
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コチサはこの後の記憶がありません。
次のコチサの記憶は、人間に生まれ変わって、山猿コチサとして、香川の山奥「益田家」に生れ落ちたあとのものになります。
だから、あの時、セミだったコチサは苦しかったのか辛かったのか・・・?
「たすけて・・・」
と叫んだ記憶がありますが、それは単なる条件反射のようなものだったのかも・・・
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社長
「なんにしろ、車が通りかかってでも一気に楽にさせてあげたい・・・なんて思うのは傲慢だね」
コチサ
「おっ、社長!久しぶりの登場じゃん。良かったね(^o^)・・・このところ出てこないから心配してたんだよ^-^;」
社長
「出るも出ないも、ひとえに君個人の裁量だろ・・・出演者を全て自分で決めるワンマンプロデューサーみたいだね^-^;」
コチサ
「いいじゃん、コチサのコチサニュースなんだから(`_')」
社長
「ごもっとも」
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もしかしたらセミは苦しかったのかもしれません。
一気に潰して欲しいと願っていたのかもしれません。
でも「生まれてから死ぬまで」与えられた使命を全うするのが、全ての生物に与えられた使命なはずです。
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コチサ
「痛いのはイヤだ、苦しいのはイヤだ、などと言っていては一歩も前には進まんのだぁ(^^)/」
社長
「すごいね。とっても君の口から出る言葉とは思えないよ^-^;」
コチサ
「そういえば・・・」
社長
「(嫌な予感^-^;)」
コチサ
「コチサがセミだったころ、よくコチサの美しい鳴き声を邪魔する音痴なクマゼミ君がいてね・・・コチサは「こいつとはとことんソリが合わない、前世でよっぽど折り合いが悪かったんだろう・・・来世では絶対に関わりたくない」と思ったものだよ^-^;」
社長が音痴なクマゼミだった頃
「ギュギュギュ〜ギュギュギュー」
音痴社長ゼミが鳴きます・・・
セミをクリッククリック♪