本屋さんでレジに並んでいて、あと二人という時に、前方でトラブルが発生した模様です。
レジを変えるか、そのままそこで待つか、思案のしどころです。
でも結局「あと二人」という順番が、コチサをその場に留まらせました。
トラブルの原因は?・・・
レジで会計を済まそうとした女性がご立腹の様子です。
この列でレジの順番を待つと決めたからには、コチサの興味はレジのトラブルに移ります。
全身をダンボにして情報収集に努めます^-^;
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本を購入した女性
「こんなに侮辱された事は無いわ(`_')」
店員
「申し訳ございません」
女性
「申し訳ないじゃないわ、どうしてこんな目にあわせるのか説明して(`_')」
店員
「はぁ・・・そう言われましても」
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こんな押し問答がすでに5分は続いています。
レジを変えていれば、とっくに清算は終わっていました。
でもコチサとしては、今さらレジを変えるわけにもいきません。
乗りかかった船(^-^;)です、結末を見届けなくては・・・^-^;
どうやら店員さんでは手に負えなかったようで、店の奥からスーツ姿の青年が出てきました。
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コチサ
「アルバイト店員から、青年社員にバトンタッチだね^-^;」
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青年社員
「お客様、申し訳ありません」
女性
「私は屈辱を受けたのよ、許せないわ(`_')」
青年社員
「そう申されましても・・・」
女性
「お宅は、この○○21というところからマージンをもらってるんでしょ(`_')」
青年社員
「はぁ、まぁ・・・」
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コチサ
「マージン?・・・なんか不正取引に関わるトラブルなのか?・・・ってことは、このクレームをつけている女性は公正取引委員会の重鎮か?」
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そして、やはり青年社員も歯が立たなかったようで、今度は店長と思しき30代くらいのおじさまが登場してきました。
その頃になると、レジの周りにはかなりの人だかりが出来ています。
コチサもレジに並んでいたことなどすっかり忘れ、たんなるやじ馬になりきっています^-^;
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同じ場所に居合わせただけで
もうすっかりお友だちになった名も知らぬおじさん
「どうしたんすか?」
コチサ
「いやはやなんとも・・・よくわからんのです」
そこに2メートル先から加わってきた
やはり名も知らぬおばさん
「あのね、なんか買った本を袋に入れてもらった時に問題が生じたようなのよね」
コチサ
「でもマージンがどうのこうのと・・・」
いつのまにか背後霊のように
コチサの後ろにピタッとついたお姉さん
「買ってもいない本を売りつけられたみたいな事を言ってましたよ」
コチサ
「まさかぁ・・・」
騒ぎを聞きつけて隣のハンバーガー屋から
出てきた学生二人
「釣銭間違いじゃないっすか?オレらも前いっぺん間違えられたし・・・」
コチサ
「釣銭間違いだったら、謝れば済むし、こんなに後引かないと思うけど・・・」
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そんなぼそぼそ声が、コチサの四方八方から聞こえてきました。
多くのにわかグループが出来あがり、それぞれ探偵か、分析医のように、耳に聞こえてきた小さな事実を寄せ集めあって、原因を解明しています^-^;
そんな中、再び女性の声が響き渡りました。
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女性
「あなた私を誰だと思っているのよ(`_')」
店長と思しき男性
「はぁ・・・」
女性
「私がいくつに見えるの?そんな歳に見えるの?失礼よ?」
店長
「はぁ・・・」
女性
「私はこの薄い雑誌を買っただけなのに、何この○○21というチラシは・・・これを一枚入れるとあなたたちにはいくらマージンが入るの?」
店長
「はぁ・・・まぁ・・・」
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「
ピカッ!」
「
ピカッ(^o^)」
「
ピカッ(*^^*)」
やじ馬たちのグループの何人かの頭が光りました。
幸いコチサの頭にも「ピカッ!」が光りました。
わかったやじ馬が、まだ把握出来ていないやじ馬に説明をしています。
コチサも、コチサ組のやじ馬仲間に説明を始めました。
本屋さんで買った本を、家に帰って袋から取り出すと、結婚紹介所や男女交際サークル的なチラシが入っていることがあります。
コチサはそのチラシについては、「そんなものなんだ」と、ただ単に袋と一緒にゴミ箱に捨てるものと思っていました。
捨てる時、花嫁さんの写真や、気を惹くキャッチコピーが目に入ってくるので、あぁ「結婚紹介所のパンフなんだな」と気がついていた程度のことです。
書籍の購入者の袋に、本と一緒にそのチラシを入れることで、本屋さんに、そのチラシを作った結婚相談所からマージンが入る仕組みだとか考えた事もありませんでした。
でも、女性の鋭い質問に「はい」と店長が頷いたので、やはりマージンが入ってくる仕組みだったようです。
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コチサ
「なんかひとつ利口になった気がします^-^;」
おばさん
「そういえば、私にはよくエステのチラシが入っていることがあったけど・・・さすがにこの年齢じゃ結婚相談所は無いわね」
おっさん
「オレは何にも入ってたことないぞ」
学生
「オレらにも、結婚相談所入ってたことあるっす(^o^)」
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女性
「私がこんなものを喜ぶ年齢に見えるの?(`_')」
店長
「いやそうではなくて・・・ただ女性のお客様にはお入れするようにこれまでもやってきましたし・・・このような問題が生じた事はこれまで一度だって・・・」
女性
「私がこんなところを必要とする年齢に見えるなんて失礼だわ(`_')」
店長
「いや私どもは決して理不尽な事を言っているわけでは・・・」
女性
「じゃぁ私が理不尽だと言うの(`_')」
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店長は、しどろもどろにこのチラシを入れることは今までもやってきたことで、法的に問題のある行為ではないことを訴えます。
しかし、店長の弁明は、ますます女性の怒りを大きくしているように見えます。
でもコチサの見るところ、この女性はおしゃれでカッコよく20代に見えます。
本人の言うように「そんな年齢」というほど、歳を重ねている風には見えません。
この女性は、店長に言われるまでもなく「理不尽な怒り」は、充分に把握しているんだと思いました。
ただいったん弾けてしまった怒りを押さえつけることが出来ずに戸惑っている・・・
そんな気がしました。
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おばさん
「店長ったら、あれじゃダメよ」
おっさん
「木を見て森を見ずってやつだ」
お姉さん
「そういえば、私もいつもは気にしないけど、嫌な気分になった時もあったなぁ・・・」
学生
「し、失恋とかした時っすか?^-^;」
お姉さん
「そうじゃなかったと思う・・・忘れたけど・・・でもまぁ近いようなことだったかも・・・」
コチサ
「このチラシが、心の琴線に触れたんだよ」
おばさん
「この暑さだしね。イライラしている事があって、チラシがきっかけになったのね」
学生
「や、やっぱ、失恋すかね^-^;」
コチサ
「君らの頭の中は、そればっかかい^-^;」
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女性の怒りは、森を見られない店長によって、もう暫く上り詰めるかもしれません。
でも、状況が把握できたやじ馬は、徐々に解散しだしました。
暑さと、弾けてしまった心の琴線・・・
怒りの原因が、予想外の「理不尽さ」であったことが、やじ馬をしてこの女性に同情票を集めてしまったようです。
(「きっと辛い事があったんだね^-^;」)
そして、やじ馬にも去られ一人残された店長にも・・・
(「これも修行だ、ガンバレ!」)
そんな優しい目が注がれている事に、コチサは気がつきました。
暑さゆえの「理不尽なアクシデント」に、まわりからは何故か一服の清涼感が湧き上がった不思議な時間でした。