No.661 「ホントのお別れ」 2007.10.11
 奈良に一週間ほど行ってきました・・・

 奈良に一週間ほど行ってきました。

 親友だったオカチャンに会いに・・・(第655号参照

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 お友だちが亡くなったら、お悔やみに駆けつけて、故人をしのぶ・・・

 それが、お葬式というもので、思い出を語れば語るほど、故人は浮かばれる・・・

 習うでもなく、コチサは子どもの頃から、そういうものだと思っていました。

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 身内が亡くなれば、お父さんは悲しむより先に、電話機の前に陣取って、親戚一同にその旨を連絡していました。

 取るものも取らずに駆けつけてくれた人たちに、お父さんは、遠路はるばるの労をねぎらい感謝をします。

 葬儀一切を取り仕切る喪主が、本当に悲しみに浸れるのは、葬儀が終って親戚一同が帰路につき、家族水入らずになる数日先の事です。

 でもその時には、気持ちもだいぶ落ち着いてきて・・・

 だから、そういう忙しさはかえって喪主には良いのかもしれない、などと聞いたことがあります。

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 もし愛する人に突然の不幸が訪れたら・・・

 でも時代も少しずつ変わってきています。

 もし愛する人に突然の不幸が訪れたら・・・

 コチサだったら、すぐに電話機の前には陣取れないかもしれません。

 むしろ、突然の不幸を信じたくなくて・・・

 誰かに言わなければ、

 「嘘だぴょーん」

 って、生き返ってくれそうで・・・

 人に会いたくなくて、誰にも伝えたくなくて、何もなかった事にしたくて・・・

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 奈良に行ったコチサは、オカチャンに会えませんでした。

 オカチャンの旦那さんは、お仕事が忙しくて、

 「せっかく来ていただいたのに、時間がとれそうもなく・・・」

 丁寧にそう言ってくれました。

 仕方ありません。

 人の心の癒され方は、人それぞれです。

 コチサは、自分の良かれと思った行動で、人の心の波紋を広げることはしたくない・・・

 オカチャンは、まだお墓も無いそうなので・・・

 コチサは、包んだものを人を通してオカチャンの旦那さんに預けると、奈良の町を散歩することにしました。

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 オカチャンが住んでいた町・・・

 オカチャンが住んでいた町・・・

 オカチャンがお参りをしたかもしれない東大寺でお守りを買い、

 オカチャンが写真を撮ったかもしれない大仏殿で大仏様に笑いかけ、

 オカチャンがエサをあげたかもしれない鹿の頭を撫でました。

 鹿の頭を撫でました・・・

 そしてオカチャンが吸った空気を吸い、

 オカチャンが笑った青空を目に焼きとめ、

 オカチャンが歩いた大地を踏みしめました。

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 後日電話で・・・

 気がついたときはオカチャンは、末期の状態で、手術も出来ず、ただただ痛みに苦しみぬいて亡くなったと聞かされました。

 苦しみぬいて、今やっと天国で安らかに眠っているオカチャン・・・

 でも、家族の苦しみはまだまだ癒えない傷痕となっていることがわかりました。

 それは、旦那さんだけじゃなくて・・・

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 オカチャンの実家と、コチサの実家は車で約5分。

 オカチャンのお母さんと、コチサのお母さんは町内会で顔を会わせます。

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 お母さん
 「オカチャンのお母さん、腰は曲がっとったけど元気そうやったで」

 コチサ
 「そう、それは良かった。でもお母さんに、オカチャンの話はしないんでしょ」

 お母さん
 「せえへんし、こっちもせん」

 コチサ
 「そうだね。向こうが話す気になるまで、知らないふりしといてあげて」

 お母さん
 「でも、お前は向こうのお家にお線香あげに行ったんやろ。お前が知っとるのに、お前から聞いてないっていうのも変やで」

 コチサ
 「大丈夫だよ。コチサがお線香をあげに奈良の嫁ぎ先に行った話しは、オカチャンのお母さんには伝わってこないと思うから」

 お母さん
 「そうなんか・・・」

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 長く生きればたくさんの悲しみや苦しみをたくさん経験するんだから、その重さに耐えかねて腰も曲がりたくなるのでしょう。

 でも、毎日畑に出て、昨日と変わらぬ作業をコツコツと一生懸命こなす。

 そんな日を続けていれば、やがて種は芽を出し、花が咲き、実を結び、収穫の時期を教えてくれる。

 そうやって季節は巡るし、悲しみや苦しみだって、日めくりカレンダーのようにめくられて薄くなって、やがては消えていく・・・はず・・・

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 結局、奈良に一週間も腰を落ち着けちゃったコチサは、なんだかひとつ人生を悟ったような気がして帰って来ました。

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 コチサ
 「人生は難しすぎて、実はシンプルであることを知るにはまだまだだなぁ〜」

 社長
 「あれ?久しぶりの哲学コチサ?」

 コチサ
 「『あれ?』はこっちの台詞だよ。なんで事務所にいるのよ。介護生活はどしたの?」

 社長
 「また緊急入院しちゃったんだよ」

 コチサ
 「こっちも人生大変だぁ」

 社長
 「そうでもないよ」

 コチサ
 「なんで?」

 社長
 「なるようにしかならないしね」

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 なるようにしかならないこともあります・・・

 コチサは、人生は思い通りになると思っていました。

 今でも、そう思っています。

 でも、なるようにしかならないこともあります。

 人生が思い通りになるためには、なるようにしかならないと受け入れる心も必要なのだと思いました。

 ずーと心にわだかまっていた、

 「最期に一度、オカチャンと話がしたかった」

 という思いは、

 今回の奈良行きで、

 「残念だけど、もうオカチャンとは話は出来ないんだ」

 と心が納得する気持ちに変わりました。

 オカチャンは、お役御免で、今は天国でゆっくり過ごしている。

 コチサは、また今日も生きていく。

 よくわからないけど、それがなるようになった道なんだ。

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 ビリー
 「ねぇ、コチサニュースって、もう前みたく、ただ単純にくだらないのはないの?」

 コチサ
 「ビリーを主役にして、いじくっていいなら、いつでも書けるぞ」

 ビリー
 「・・・」

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 今日のコチサニュースは、自分を整理する為の、

 コチサによる、コチサのための「コチサニュース」でした。

 ごめんなさい<(_ _)>

今日のコチサニュースはコチサによるコチサのための「コチサニュース」でした;<(_ _)>

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