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FILE24-ベン来襲、ベン来襲
23/30days
コチサのペッパーフレンズ●益田沙稚子 

虫を追い払うコチサ


ファイル2の「歌さん」を始め、海外からのメール友達は少なくありません。今日から3回はそんな人達のお話です。
ベンは本名、勉という日本人です。シアトルに住んでもう15年になります。ベンからのメールはいつもローマ字の日本語読みです。慣れるまでは結構疲れました。ベンは海外にいても律儀な日本人の鏡です。決して気を悪くさせない距離感を保ったメール。しっかり週一本を守る頻度。いつも相手の気持ちを案ずる文章から入る節度。味気ないと言えばそれまでですが、コチサもきっちり返事を書かなくてはいけない雰囲気にさせてくれます。例えて言えば「文通コーナー」で知り合ったお友だちの感覚です。
ベンの誕生日にコチサはカードを送りました。送り先はコチサの事務所の宛先。ベンはとても喜んでくれ、その後事務所に贈り物を頂いたりしました。
「コンド・ホンコン・ト・ニホン・イキマス」というメールが来ました。ベンにとっては15年ぶりの里帰り。感激な気分である事は事実でしょう。
その日、コチサは自宅で遅い朝を迎えました。「ベン来襲、ベン来襲」というメールが事務所から。慌てて電話したコチサに、事務所の人間の声「ベンという、日本語の上手な、中国人が来たよ。コチサさんはこちらにいないのかってお土産を置いていった。それから今新宿のインターネットカフェにいるからメールをくれって」
結局ベンとはすれ違いでした。アポイントも無く突然の来襲(それも住所だけを頼りに)は、これまでの礼を尽くしたベンのイメージを一変させました。そして「最初、カーネルサンダースが来たのかと思った(事務所談)」という外見のイメージも線の細い文章からは新たな発見でした。
イメージがイメージ通りに運ばないメールの楽しさと危うさは表裏一体です。取り合えず今回はニアミスにて一件落着!


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