307ch
FILE27-死神さんはまだ遠い
26/30days
コチサのペッパーフレンズ●益田沙稚子 

髪を鬱陶しがるコチサ


「死神さんは本当にいるんですか?恐くなってしまいました」、コチサの絵本プロジェクトの「おばぁちゃんのお友だち」を読んだ小学生メグちゃんからのメールです。
さぁ来たぞ!覚悟はしていたものの気が引き締まります。絵本プロジェクトを発表した時から賛否両論様々なメールが届きました。それぞれに誠実に対処したつもりですがどれも相手は大人です。所詮は机上の論争です。しかし絵本の直接のターゲットである小学生からのメール、何を思ってのメールか糸口を探らなければなりません。
「死神さんの事は、実はよく解かりません。いるもいないもその人の心の中の出来事ではないかな、恐くなるのも嬉しくなるのも」「嬉しくなる人もいるんですか?」しまった!この物語はいかにも「死」がテーマになっている。「嬉しい=死」と結びつけられちゃったかも!「嬉しくなる人もいるかも知れない、おばぁちゃんをやっぱり好きでいられて。寂しくなる人もいるかもしれない〜」
「メグもそう。恐かったし寂しかったし、少し嬉しかった。でも死神さんの気持ちはどうなの」理論武装のコチサには全ての意見に対する心構えが出来ていました。しかしこれは考えていませんでした。死神さんの気持ち。これは盲点かも知れない。「メグちゃん、コチサも一人では解らない。一緒に考えていこう」、メグちゃんによれば恐がられる死神さんだけは何も選択肢の無い人生で、それが一番恐い。そういう人は優しい心を持つ必要もなく生まれてくるけど、たまたま優しい心を持って死神さんに生まれて来たらどうなの、という事が大きな問題だったようです。
人生の機微を知った風で「絵本」等とのたまうコチサは、メグちゃんのおかげで少し成長しました。「僕らはみんな生きている」という歌の歌詞がこだまします。コチサは今もメグちゃんとお互いを吸収しながら成長しています。


<BACK  NEXT>