「コチシム」第8章次点作品

第8章のナイスな「コチシム」作品群

「グッド、ぐっど!」さんを追従する、
「厚木のコウちゃん」が連続登場!
今回は趣向を凝らした作品が多く、
読みごたえがありました。
またリピーターの再投稿率が、
過去最大を記録しました。
とっても嬉しいことです。


[第8章次点作(その1)]
(厚木のコウちゃんの作品です)

「へへへのへん!」
MAスタジオから出てきたコチサは意気揚々さ!

(良かったよ)(緊張しなかった?)(上出来、上出来!)
おきまりのねぎらいの言葉も真に受けちゃう!
「へへへのへん!」
もう鼻が伸び過ぎちゃって、そっくり返って歩いちゃう!

(ゴクミさんも綺麗だったね)(さすが女優さん)
そんな言葉も素直に聞けちゃう、そしてエールなんかも送っちゃう。
「まぁお互い頑張ろうや!」
初めてのナレーションの仕事が大手のメジャーCMに決まり、ビギナーズラックを実力と勘違いするには充分のコチサ天狗は、もうMA室に自分のマスコットなんかを置いちゃったりした。
もう二度と来ることの無いMA室に・・・・・・・

「そりゃ田舎は大騒ぎさ!」
(よくやった)(郷土の誇りだ)(さすがワシの娘じゃ)
「もう、面倒くさい、今日の電話は出ないもん」
(・・・・)(・・・・)(・・・・・)
「そうよね、まだON AIRされて無いもんね、電話はまだよね」

「もう街を歩くのも大騒ぎさ!」
(ねぇあれMCのコチサじゃない?)(ほんとだ変装してるけど気品があるからわかっちゃうよね)
「声をかけてくる勇気があればサインくらいしてあげるのに・・・」
想像の中でのコチサは日に日に大きな人物となっていった。


「えぇ〜どうして?」
「だから、他の人に決まったんだよ」
「えぇ〜あたしゴクミのバックでがなったんだよ」
「これは、オーディションだから、落ちる人もいるんだよ」
「ちぇっ!」
「やめなさい、その舌を鳴らすのは」
社長ともめるコチサの姿が日常茶飯事になった頃、街を歩く変装もかえって人目を引くだけのものとやんわり注意されるコチサであった。

「お前のことなんか誰も知らないんだぞ」
「知ってるもん!」
「CMで流れたのは声だけだろ、そんなお前が街を歩いたって解るわけないじゃないか」
「気品があるもん!」
「誰かそう言ったのか?」
「言わんけど、みんな思うちょる」
「ほらまた、嘘を付くから訛ってる、その癖だけは治らんな」
「ちぇっ!」
「それもやめなさい」
オーディションの連敗は事務所の記録を更新し、それならと事務所に内緒で応募したニュースステーションのキャスター公募には写真審査ではねられる始末。

「何か変だぞ?」
「変じゃないんだよ、これが今の実力と考えなさい」
「変だぞ?」
「一つずつ努力を積み重ねていかなくちゃいけないと言うことだ」
「誰かが足を引っ張っているんだ」
「最初からあんないい仕事が出来たことをラッキーと思って精進していくことだ」
「組織があたしを潰そうとしているんだ」
「ちゃんと話しを聞いてるのか?」
「黒幕はお前だ!」
「お前は何を考えてるんだ、私は社長だぞ」
「ちぇっ!」
こんな娘に無駄飯をいつまでも食わせていく訳にはいかない、「お前」呼ばわりされた社長はもうコチサを特別扱いはせず、なりふり構わずの仕事をあてがう事に決めた。

「いやだ!」
「またか、だが今回はダメだ」
「そないな、エッチな声なんか出せん」
「やってみなけりゃわからんだろ」
「出せんもんは出せん」
「お前も山猿と言われても女であることは変わり無い、こんな美人の課長島耕作の相手役のアフレコなんて、それだけで女っぷりが上がるというもんだ」
「何言うちょる、コチサはいやじゃわい」
「ほら、また訛ってきた、本当はやりたいんと違うか?」
「やりたくもないし、声も出せん」
「わからんぞ、結構気持ちよかったりして・・・・」
「コチサはやらん」
「ほらほら、どうだ気持ちいいぞぉ、ほらほら・・・」
「・・・・・・」
「コチサがあんあん、大町君もあんあん、あぁ〜んだめぇ〜」
「おい、社長、大丈夫か?」
「あ、あぁ・・・・ちょっと見失ってしまったようだな」
「ちぇっ、馬鹿ものが!」

久しぶりの実家からの電話。ほんわかした気分になるコチサ。
でもお母さんの話は・・・・
「おばぁちゃんの具合が悪いんよ」
「なんでじゃ?」
「なんでって言っても、もう歳やし病気がちでな」
「なんとかしてけろ」
「お前、動揺してるんか?」
「なんでじゃ?」
「訛っとるからな」
「田舎もんじゃき訛るのは当たり前じゃ」
「でもそれうちの方の方言じゃありゃせんよ」
「ばぁちゃんを元気にしてけろ!」
「佐知子、またテレビで元気な声をおばぁちゃんに聞かせてやっておくれ」
「コチサの声で治るんか?」
「おばぁちゃんには一番の薬じゃって」

事務所ではもう名物になったコチサと社長の会話が。
「うち、やるねん」
「何をじゃ?」
「エッチな声じゃ」
「出せるか?」
「大丈夫じゃ、田舎ではよく裏山で猫たちの声を聞いたものじゃ!」

筑紫哲也さんの「NEWS23」に山猿コチサ登場!
「今年の世相を振り返るという枠で、課長島耕作の漫画を流します。コチサさんはその相手役の大町女史をやってください。こちらは島耕作役のバッキーさんです」
「はじめまして、バッキー木場です」
「コチサだす」
「は?」
「とりあえず、本番まであと6時間なので編集も考えて1時間程度で録音を済ませてください、じゃぁバッキーさんとコチサさんこちらへ」

刻々と迫る時間。
すでに1時間を超えている。
憔悴している、バッキー氏、スタッフ達・・・・・
さかりのついた猫を演じ続けるコチサ氏・・・・・
たまりかねて社長がMA室に入る。
「何しに来た?」
「うるさい!・・・もう一回だけお願いしま〜す」

−スタート−
「大町君、今夜食事の後はどうだね」
「オッケイよ・」
・・・・・
「あぁ大町君、あぁ・・」
「あぁ島課長ぉ〜」
「あぁ大町君・・・」
社長の指がコチサの太股へ・・・そして思いっきりつねる。
「あぁ〜〜〜〜ん・、痛ぁ〜い、われ何さらしんじゃい!!!!」
哀れ社長の機転も水の泡に・・・・

「はいオーケーです。いただきます!!」
「いいんですか?」
「いいんか?」
「オーケーです、ばっちりです。後半は斬りますから、コチサさんいい声でした。皆さんお疲れさまでした」
ほっとする一同を後目にオンエアを待たずに帰路につく、コチサと社長。
二人の間はもう誰も離せないのではないか。

「お疲れさん」
「へへへのへん!」
「まぁ無事に終わってほっとしたよ」
「なぁ社長、女が生きていくのも大変だなぁ」
「まぁな、お前が本当に意味を理解して言ってるとは思えないけど、生きるってことは大変なんだよ」
「人って言う字は支えあって成り立ってるもんのう」
「また誰かから聞いた受け売りだな」
「まぁこれからも支えあって頑張ろうな、社長!」
「私はお前を事務所に入れた事だけは後悔してるよ」
「ちぇっ!」
「だから、それはやめろ」


ON AIR後、実家に電話するコチサがいた。
「ばぁちゃんはどうした?」
「もう帰ってこんでいいと言っとる、あんな声を出す孫はいらんと」
「ばぁちゃんの為にやったと」
「まぁよか、おかげでおばあちゃん驚いて飛び起きてピンピンしてる」
「そっか、それが一番じゃもんな」
田舎に電話するとどうして暖かい気持ちになるんだろう。でもやっぱり仕事は大変だ。これからもたくさん頑張んないとみんな元気にしてやれないしな。
ほんの小さな壁を乗り越え社会人として少しだけ大人になったコチサはもう家族を養う大黒柱の気合いが充分。
でもまだ仕送りしてもらう身分。

その後も家族を元気にするため、電波に声を乗せようと頑張るコチサと社長の奮闘は続いた。
でもおばぁちゃんは次の年、春を待たずに帰らぬ人に。
「佐知子はほんまにええ声をしとるのぉ〜」
コチサは今も目を瞑るとおばぁちゃんの声を聞くことが出来る。

「さぁ社長、今日も頑張るっちゃ」
「お、おぅ!」


◆コチサの寸評

「山猿コチサシリーズ第2弾」だね。
コウちゃんは自分が楽しんで書いてきてくれているのが嬉しいよ。
コチサも大笑いしている。でもよく研究してるよね。メールでの細かい話しをしっかり覚えていて本文に引用する。コチシムの王道だよね。
また今回はこれもコチシムの定番、「最後にホロリ」路線もしっかり押さえて2回目の投稿にしてはすっかり馴染んじゃってるね。
でも「コチシム文書作法」をものにしたって世間の文学賞では何にも役に立たないからね。


[第8章次点作(その2)]
(「困った時の四文字熟語」さんの作品です)

ついに、コチサさんの時代が、やってきました。
テレビを中心に、メジャーCMにどんどん「声」を付けていくコチサさん。
業界では、「陰のCM女王」として一躍有名になってきました。
まさに「飛ぶ鳥を落として焼いて食う」、勢いのコチサさんでした。


でも・・・・・・
このコチサさんの活躍を、あの人達はどんな思いで見つめているのでしょう?


ウメ婆さんは?
もう、お亡くなりになってしまいましたね。


ゆみちゃんは?
心の優しい人でしたから、きっとお仕事で一生懸命になりながら、お客さんとコチサさんの話しをして、宣伝してくれたりしてるかも知れませんね。


地元の人たちは?
今では、決してコチサさんが、逃げ出したとは思っていないはずです。毎夜の集会でクタクタになった体に、コチサさんの声が、心地良く響いていることでしょう。


では、アッコちゃんは?
そう、コチサさんの親友ですもんね。きっと、誰よりも暖かく成功を喜んでくれていますよね。



「テレビ消して!あたし、このCM嫌い」
「はいはい」
マネージャーは、苦々しい思いで、この落ちぶれたモデルの言うとおり、テレビのスイッチを切りました。
「こいつも、もう少し努力してくれたら何とかなったかも知れないけど、今からじゃもう無理だな、しかしここまで太るか」
心の中でマネージャーはつぶやきます。


まだ、20歳を少し過ぎたところだというのに、今日のアッコちゃんは、主婦向けLLサイズの、通信販売の、下着の、カタログモデルの、仕事をしています。

「モデルさんすいません、お腹の肉は、あんまり下着にしまい込まないで。すこし、たるまして、はみ出させてね。そうしないと、購入者の奥さん達の共感を得られないからね」
でも、今のアッコちゃんは、そんなことを言われなくても、充分お腹がタポタポしています。


「ねぇ、テレビ消してったら!」
「もう、とっくに消してますよ」
アッコちゃんは、幻聴が聞こえるようになってしまったようです。
「あなたのせいじゃない!もともと、あたしは太る体質だったのよ。でも、あなたの明るい声、ノー天気な声が、一層あたしの食欲を増進させるの」
いや本当は、コチサさんの声ではなく、「コチサさんの成功」が、アッコちゃんの食欲を増進させていたのです。

何不自由無く育ったアッコちゃんが、出会った宿命のライバルコチサさん。
一時は、切磋琢磨しあって、お互いが向上していく、いい関係のように見えたのですが、ここに来て運命のいたずらか、大きく歯車が、ずれてきてしまったようです。
はじめは、アッコちゃんもコチサさんの活躍を、口ではいつものように悪く言いながら、心では喜んでいたのです。
ところが、ちょっとしたきっかけで、アッコちゃんの精神状態が乱れたとき、コチサさんの活躍は、アッコちゃんにとって絶好の自己逃避の場所になってしまったのです。

アッコちゃんが、モデルとして復活することは、もう不可能でしょう。
多分、それはアッコちゃん自身が、一番わかっていると思います。

アッコちゃんが、新しい自分を見つけて再び立ち上がるまで、コチサさんは、憎悪の対象として存在し続けることになるでしょう。
時には、コチサさん声の流れるテレビが、叩き壊されたり、いわれも無い流言飛語が、アッコちゃんを起点に打ち上げられるかも知れません。
しかし、アッコちゃんは解っています。
コチサさんは親友で、こういう形で自分を挫折から引き上げてくれるために協力してくれているんだと。


だからコチサさんも辛抱してくださいね。
有名になってくるということはこういうこともあるんだなと。
「火のないところに煙りが立つ」、特殊な世界に身を置くコチサさんだから、こういうことは慣れたものでしょうが、こういう形で、一人の人間の復活に関わることもあるんだ、と理解してくださいね。


アッコちゃんの復活は近いです。
コチサさんと、アッコちゃんは、親友としてこの後の生涯を過ごすんですから。
今までのエピソードだけでは、とても親友とは呼べません。
こういった、断崖絶壁の関係を超えることによって、本当に親友と呼べる関係になっていくんですから。


そうこうしてるうちに、コチサさんの耳には、アッコちゃんの近況が届きました。
「太ってモデル続けられなくなったのか、でも、また新しい何かを見つけていくんだろうな」
アッコちゃんの苦悶も知らず、結構楽観的に考えている、コチサさんでした。
それが、親友のいい関係、なんですね。


しかし、恐るべき魔の手は、数年後にコチサさんを、襲うことになります。
コチサさん、つい最近、「某即席ラーメン」の、愛しの少女役のオーデションを受けましたね。
「本当の子供と、子供声のコチサが、一緒にオーディションした」と、メールには書いてありましたね。そして、
「本物の子供に負けてしまったよ」とも。

オーディションの合格者プロフィール、見ましたか。
名前:大西佐知子(2歳)
母:大西亜紀子
父:大西六助

アッコちゃんは、その後、熱心に心配してくれたマネージャーと結婚しました。いや、子供を作りました。そして、結婚しました。
穏やかになったアッコちゃんの心は、娘に永遠の親友、コチサさんの本名を与えました。
美しい友情です。旦那さんも、大賛成してくれました。
平和な家庭がやっとアッコちゃんにも・・・・・
ところが、娘の佐知子ちゃんの可愛い顔と可愛い声・・・・・

アッコちゃんは、ステージママに大変身を遂げました。
目指すは、「打倒コチサ!」
今日も、フリフリドレスを着せられた、佐知子ちゃんは、ママに連れられて営業回りです。

コチサさん、どこかの局で、この佐知子ちゃんに出会ったら応援してやってくださいね。
宿命の対決は、世代を越えて続きます。


◆コチサの寸評

成功の陰に必ずある「感動秘話」だね。
でもアッコちゃんって長いよね。一時はコチサを超える人気者だったもん。
ついに子供を産んだんだね。
軽く流してるけど「四文字熟語」さんの文章には含蓄があるよね。
特に「ゴシップの一人歩き」の部分なんか、一喜一憂してたら生き残れない世界を、考え方をポジティブにすることによって乗り越えていく辛辣な視点が光ってます。
スポーツの世界が取り入れている「メンタルトレーニング」は、こういう業界にも必要なのかも知れないね。
昔は「厚顔じゃないと生き残れないぞ」という精神論がまかり通っていたけど今じゃ通用しないよね。


[第8章次点作(その3)]
(お待たせ「グッド、ぐっど!」さんの作品です)

そのひとは、いつものようにそこに座っていた。
「ありがとうございました。。。」
あわただしく行きかう人波の向こうから、コチサはそっと頭を下げた。

・・・・・・・・・・

閉じた漫画本を枕元に放り出し、コチサはベッドの上でため息をついた。
織田さんが次に持ってきたのは、NEWS23で取り上げる人気漫画の紹介映像にアテる、声優もどきのお仕事だった。「やったぜ!テレビだっ!!」と二つ返事でOKしたものの、もらった台本に出てくるセリフはあえぎ声ばっかし。
参考資料として渡された漫画を読んで、ようやく事態が飲み込めた。

「新入社員のOL、ったって、パブで飲んでる時にテーブルの下でいきなり上司に足を絡めて誘惑しちゃう、歪んだ性愛癖を持つ女だとはねぇ。。。」

いったいどういうコネがあるのかわからないけど、うちの社長は突然トンデモナイ仕事を取ってくる。なにしろのっけから「まずはCMのお仕事から始めるあるよ。」とか、例のチョーシでわけも分からず連れて行かれたスタジオで、いきなりマイクの向こう側のスクリーンに大映しになったゴクミを見せられてオオアワを喰ったんだっけ。

今度はニュースステーションのオーディションを受けたいと伝えたら(結局落ちたけど)、「コチサさん、ニュース番組お好みあるか。それじゃわたし、みつくろっておくあるよ。」とかうまいこと言って、拾ってきたのが、大町久美子のあえぎ声というわけだ。

織田さんは私の可能性を試している。久美子の役にしても、ほとばしるような彼女のベッドシーンを描いた絵をバックにしたとたん、私の作るあえぎ声など色褪せてしまうだろう。今のままでは、決定的に何かが足りない。。。

・・・・・・・・・・

「や、やるんですか、ホントに?」
ADの吉田は、不安と期待の入り混じった表情で聞いてきた。
「遠慮することはないわ。。さあ、来て!」
スタジオに持ち込んだマットレスの上で、コチサは挑発するように手足を広げる。
最初はためらっていた吉田も、覚悟を決めたように上にのしかかると、コチサの両肩をマットに押し付けてきた。たちまち二人の呼吸の音が大きくなってゆく。

プロデューサーの小川は、ガラス窓の反対側で繰り広げられている状況に目を剥いた。
「いくら役作りっつったって、そこまでやるか、普通?。。。」
しかし織田はそんな光景には目もくれず、ひたすらモニターから流れてくるあえぎ声や荒い息の音と、マットレスのきしむ音とに聞き入った。

コチサの声が、だんだん高く短くなっていった。
やがて、マイクはコチサの絶叫を捕らえた。。。

・・・・・・・・・・

「ありがとうございました。おかげさまで、なんとか出来ました。」
ビデオにはすべて克明に記録されていました。力をふりしぼる時の荒い息遣いも、汗も、そして声さえも。。。そう、いつだってあなたは隠さずありのままに見せてくれていたのですね、ずっと前から。

コチサは吉田が仕掛けた技で痛めてしまった左腕をさすりながらも、感謝を込めてそっと頭を下げた。
コチサの視線の先に、そのひとは座っていた。休憩時間には控室に戻らず、そのまま正面入口のロビーにまわり、売店の内側の椅子に、黙って座っているのだった。

年齢を重ねるうちに、肉体の衰えも目立ってきた。必殺技の河津落としにしても、相手に足を絡めるタイミングがひと呼吸遅れたりもする。それでも、自分の姿を見たいというファンがいるかぎり、リングにのぼろう。休憩時間にロビーに座ってるだけで安心するファンがひとりでもいるのならば、座っていてあげよう。

愛と勇気をつなぐ確かな絆のように、その16文の足を持つ巨人は、トレーニングウェアに包んだ体をすこし窮屈そうにかがめながら、いつものようにそこに座っていた。


(作者註:「馬場さんが目にしみる」栃内良/飛鳥新社 を参考にさせていただきました。本文とあわせてお読み頂くことをお勧めいたします。)


◆コチサの寸評

はいお待たせの「グッド、ぐっど!」さん5週連続の登場です。
「コチシム」も残すところ後4回だから、この記録を破る可能性があるのは「厚木のコウちゃん」だけなのね。でも次回とその次も「グッド、ぐっど!」さんが掲載されればその時点で決定されるのね。楽しみです。
今回は少し難解です。コチサも何度か繰り返し読み込まないと充分な理解が出来ない作品でした。
(上記掲載は編集無しの全文掲載です)
コチサも馬場さんフリークだからここで一言!
馬場さんの全盛時は本当にすごかったんだよ(見てきたわけじゃないけど)。でもそれはジャック・ブリスコさんを破ってNWAのチャンピオンになるもっと以前の話しだって。
と、横道にそれたけど今回の作品に対するコメントは実はかなりの数で構成されている「コチシムファン−「グッド、ぐっど!」派」の判断に委ねることにいたしましょう。
ちなみに「コチシム潜在ファン」は他に「純粋コチサ派」「その他の作品擁護派」「育成作品を評議する審議会」等に別れます。
あっ、あと絶滅寸前の「支店長派」(今では「支店長の息吹を懐かしむ会」へ名称変更)もあったわ。