No.264「料理人コチサ!」  2002.10.11

 イラスト・・・さかな屋のお兄さん

 味覚の秋・・・

 秋といえば、秋刀魚です。

 スーパーでも大きな氷の樽に、いかにも新鮮そうな秋刀魚が浮かんでいます。

ライン

 コチサ

 「一匹100円かぁ・・・でもこれ丸ごとで尾っぽもついているから、一尾じゃないのかな?でも、マグロやカジキなんかは「本」だしなぁ・・・サケやニシンは「石」っていうし、カレイなんかのぺちゃんこなのは「枚」で数えたよなぁ・・・ちなみにクジラは「頭」だし・・・」

 お魚屋さん

 「お姉さん、博識なのはわかったから、秋刀魚買っていきなよ」

 コチサ

 「コチサです。わかっていただけましたか。じゃぁ買います」

 お魚屋さん

 「これ100円、こっちだと120円、どっちにする?」

 コチサ

 「どう違うの?」

 お魚屋さん

 「見てわかるでしょ。こっちは頭とワタを抜いてあるの」

 コチサ

 「お頭とはらわた抜きの手間賃が20円かぁ」

 お魚屋さん

 「そうだよ。今時の人は出来ないからね。みんなこっちを買って行くよ。お姉さんもこっち?」

 コチサ

 「コチサです。コチサは100円の方をいただきます」

 お魚屋さん

 「ほうー偉いね。出来るんだ。毎度ありー」

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 イラスト・・・秋刀魚1

 実は、出来ないんだけど20円安いから買っただけ・・・

 最近のスーパーにはお魚売り場の前には「調理メモ」という手のひらサイズの一口チラシが揃えてあります。

 コチサはその中から「さんまのわたぬき」というものを一枚もらってスーパーを後にしました。

ライン

 コチサ

 「うわー、血だぁ・・・わぁーぐちゃぐちゃの・・・いやー、気持ち悪いぃー」

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 と大騒ぎしながら、頭を殺ぎ落とし、首のあたりに斜めの切込みを入れてはらわたを引き出します。

 もう泣きそう・・・

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 コチサ

 「20円の節約ってこんなに大変なことなんだな。手は魚臭くなるし、秋刀魚の目には睨み付けられてる気分だし・・・」

ライン

 イラスト・・・秋刀魚2

 しかし、これが何か癖になりました・・・

 自分で魚のワタ抜きが出来ることが何かとても嬉しい気がしました。

 そして手をかけただけあって味も格別・・・

 だからコチサは今日も秋刀魚を買います。

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 コチサ

 「やぁ、お兄さん」

 お魚屋さん

 「いつものお姉さん、いらっしゃい。秋刀魚ひとつね」

 コチサ

 「コチサです。はい100円。ねぇこの秋刀魚さぁ、10回買ったらひとつサービスになるとか考えないんですか?」

 お魚屋さん

 「いいアイデアだね。考えておくよ」

 コチサ

 「考える気はないと見た。適当にあしらわれたじょー。でもこの競争社会、少しはコチサの意見を取り入れないと生き残れないかもよ」

ライン

 そして・・・

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 コチサ

 「さぁ、今日も美味しく焼きあがれぇ・・・」

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 楽しく調理している時にまた邪魔者が・・・

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 社長

 「あのー、煙いんだけど・・・っていうか事務所の中が煙で見えなくなってるよ」

 コチサ

 「秋刀魚焼いてるんだから仕方ないでしょ。煙の出ない秋刀魚なんて美味しいわけないじゃん」

 社長

 「あのー、ここ一応事務所だし・・・秋刀魚焼くなら家で焼いてくれないかな。昼休み少しくらい遅くなっても良いから」

 コチサ

 「そんなことしたらコチサの家中、煙だらけになるじゃん。嫌だよ」

 社長

 「・・・」

 コチサ

 「さぁ出来た、出来た、ホクホク(パク)美味しい・・・やっぱり秋は秋刀魚だよ」

 社長

 「後どのくらい続くのかなぁ?この秋」

 コチサ

 「まぁ一月以上は続くね。この青空じゃ」

 社長

 「こっちは煙くて何も見えないよ。昼飯行ってくるね」

 コチサ

 「秋刀魚定食食べると良いよ。美味しいよ」

 社長

 「そうだね」

 コチサ

 「行ってらっしゃーい」

ライン

 イラスト・・・秋刀魚3(ん?これ秋刀魚???)まっそういうことで(^^ゞ

 さぁ今度は魚を三枚に下ろす事に挑戦しようっと!


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