コチサ 「♪あいぃつぅにぃ〜よろしくぅ、伝えてくれよ〜ん。 今ならぁホテルで寝ているはずさぁ〜 泣いたらぁ窓辺のぉ〜ラジオをつけてぇ〜 陽気な唄でも聞かせてぇやぁれぇよぉ〜」 社長 「(^o^; あ...」 コチサ 「♪アメリカァ〜の貨物船がぁ〜 桟橋で待ってるぅよぉー\(^O^)/ ぅお〜」 社長 「(^-^; い...」 コチサ 「♪ふぅゆのぉ〜リビエラ〜 男ってやぁ〜つは〜 港を出て行く船のようだねぇ〜」 社長 「(^.^; う...」 コチサ 「♪悲しければぁ〜 悲しいほど〜 黙り込むもんだねぇ〜\(^o^)/」 社長 「(^_^; え...」 コチサ 「\(^.^)/ ぅわ〜 )^o^( ぶちゅ〜」 社長 「(^O^; お...」 コチサ 「終わったんだよ。拍手はどうしたの?」 社長 「本当に一曲歌いきったんだね。それも「冬のリビエラ」なんて遥か昔の曲を意気揚々と」 コチサ 「悪い?」 社長 「いや・・・」 事務所のコンピュータで遊んでいたら、偶然見つけたカラオケサイト。 これは面白い。 最初は小さい声で遊んでいたけれど、森進一さんの「冬のリビエラ」を見つけたらそうはいきません。 たとえ隣で打ち合わせの電話をしていようと、アメリカの貨物船が桟橋で待っているんだから仕方ありません。 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: コチサ 「さて、次は・・・あっ大都会、クリスタルキング、これ行ってみよう」 社長 「あのさ、ここ野中の一軒家じゃなくてさ、結構ドアとか薄いでしょ。本人は気持ちよく歌ってても、悲鳴と間違われて通報でもされたらことだし・・・」 コチサ 「どゆこと?」 社長 「小さい音で、あんまり難しくない唄を、ひとり静かに歌ってくれている分にはかまわないんだけどね」 コチサ 「(`_´メ)」 社長 「ほら、君はつい分不相応に、高度な歌に挑戦するとさ、ねっ」 コチサ 「(´ヘ`;)」 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: という指令を受け、歌いこむ歌はやめて、 聖子ちゃんメドレーを歌っていると・・・ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 社長 「♪あなたの心にぃ〜 風があるならぁ〜」 コチサ 「ん?」 社長 「♪そしてぇ〜 それがぁ〜 春の風ならぁ〜」 コチサ 「σ(^_^;)?」 社長 「♪私ひとりで〜 吹かれてみたいな〜 いつまでもぉ〜 いつまでもぉぉぉぉ(^o^)//"""」 コチサ 「あのー、どうしちゃったの?」 社長 「いや、人の見てたら楽しそうだったんで・・・」 コチサ 「それ、うた?」 社長 「そうだよ」 コチサ 「誰の?」 社長 「中山ちなっちゃんの「あなたの心に」って歌だよ」 コチサ 「中山千夏さんて、もと国会議員の?」 社長 「そうだよ。アイドルで可愛かったんだよ」 コチサ 「(^^;」 そしてその日は・・・ 事務所の電話がなっても、どちらも取る事は無く、中山千夏さんと森進一さんの夢の競演は、陽が沈むまで続けられました。 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: カチャ。 そー・・・ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: コチサ 「よし今だ、誰もいない、走るからね!」 社長 「・・・」 コチサ 「カギ、忘れないでね。こっちは先に走ってエレベータを呼んでおく」 社長 「わかった」 コチサ 「了解、じゃぁ、せーので、行くよ」 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: (( ( (ヽ(;^^)/ 逃げろ〜 バタン、カチャン、タタタタタ・・・ C= C= \(;・_・)/ だぁっ〜しゅっ そして、エレベータの中に (o_ _)o ドテッ! :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 社長 「ふー」 コチサ 「成功!誰にも見られなかったね」 社長 「でもなんで、会社から帰るのに、こんな夜逃げのようにしなくちゃならないの?」 コチサ 「あたり前でしょ、二人で調子に乗ってあんだけ恥をさらして歌いまくったんだから、世間に顔見せられないでしょ」 社長 「そんなに酷かったかな?」 コチサ 「酷いなんてもんじゃなかったよ、仕事もしないで。千夏さんから訴えられるわよ」 社長 「でも楽しかったよ」 コチサ 「そりゃそうでしょ。それがカラオケにはまる魅力なの」 社長 「でも下手な人間は、終わったあとこうして人目を忍んで逃げるように去らなくちゃいけないんだね。さすが経験者だからよく知ってるわけだね」 コチサ 「どゆこと?」 夜の六本木。 通り過ぎる人々の視線が全て自分たちを見ている気がして、背中を丸めた二人は、 「明日こそは、ちゃんと仕事をしよう」 と心に誓うのであった。 |
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